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絶叫マシーンと気付く話(尾浜と斉藤と5年)

※現パロ


竹谷のお母さんが働いてる店から貰った遊園地の割引券。夏の遊園地なんて暑くて誰も行かないからか通常の半額以下なんていう格安。もちろん俺たちは飛びついた。

太陽は痛い位に俺たちの肌を焼き付けるけど、胸が躍るのは変わらない。まずはジェットコースター!!と乗ったものの

「…鉢屋ださ、ジェットコースターが恐いとか」
「恐いんじゃねえよ。乗り物酔いしやすいんだよ、俺は」
「もー!もう1回乗ろうよー。ねえ、雷蔵ー」
「僕三郎が調子よくなるまでここにいるよ。他のみんなで乗ってきて?」
「雷蔵…好き…」
「はいはい」

早くも変態グロッキー1名。まあ、嫌がる鉢屋を無理やり乗せたのは紛れもなく俺だけど。

「じゃあ、はち!もっかい行こー」
「あーちょっと待ってな」

竹谷の方を見ればいつも以上に白い顔の奴がもう1名。こいつもか。

「兵助大丈夫か?」
「はち…ごめ…」
「あーいいから。まず座れ!な?」
「吐く…」
「ちょっ、ちょっと待て!!袋ふくろ…!!」

何で揃いも揃ってみんな乗り物酔いしやすいの。まだ1つ目だというのに、この場はまるで飲み会後のような光景だ。(まあ、乗り物酔いしてる兵助も鉢屋もお酒はすごく強いんだけど)


「あーもう。勘ちゃんが酔いどれ野郎等の為にジュース買ってくるから待ってなさい」

肩ひとつ落とし自販機のある方向へ足を向ける。少し割高の印象を受ける自販機はすぐに見つかる。何にしよう。グレープフルーツがいいんだよね。あれ、それは妊婦か。まあいいや、これにしよう。

がこん、と音がしては拾い、またひとつボタンを押した。
お釣りも忘れずにしなきゃ。そうして少ししゃがめば、頭上からチャリンと硬貨を入れる音がした。

「…あら、斉藤さん」
「もう1個追加ね」

がこんと音がする。今度はグレープフルーツじゃなくてりんごジュース。

「尾浜くん、このりんごジュースよく飲んでるよね?好き?」
「好きだけど」
「良かった」

はい、交換。と2つのグレープフルーツフルーツジュースと1つのりんごジュースを互いに持ち替えた。

「なに?」
「珍しくちょっと調子悪そうだったから。寝不足?」

調子が悪いと言われどきりとした。斉藤の言うとおり尾浜は昨夜遅くに帰宅し小1時間ほどしか寝ていなかった。絶対誰にも悟られていないと思っていたのに侮れない男だ。

「乗り物乗れないほどじゃないかもしれないけど、一応ね」
「心配性なんだから」
「それが俺らしいでしょ?」
「それもそうだ」

りんごジュースひと飲みすれば頭が少し覚醒され、いらないことに気付いてしまった。

「こりゃモテるはずだ」
「自分が辛くても絶対態度にださないくらい男前のくせに。なーに言ってるの」

お互い賞賛しあって何だか気持ち悪いな。それでも誰より分かりにくい俺を分かってくれたことが嬉しくて、喉にこもる熱を甘いジュースで流しこんだ。



0823
斉藤と勘ちゃんを絡ませたくて仕方がないようだ!




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あきゅろす。
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