いっぱち物語(仮) 1 悪魔は空想なんかじゃない。 じゃあ、天使も…空想なんかじゃない、のかな…… 編入生が来る。 寮監にそう言われ部屋をかたずける事になった。 特待生は基本一人部屋だ。一般生は二人から四人。家柄とか寄付金とか、度が過ぎれば素行とかでそれは決まる。 僕は特待生なのに、なんで同室者が出来るんだろう。疑問に思って尋ねると、寮監は気まずそうに目を逸らして、編入生は理事長の甥だと教えてくれた。 何でも、一人は寂しい、つまらない、一人部屋なんて贅沢、などなど… 平凡には平凡なりの質素な生活がある、と… 馬鹿にしてるのか? 『理事長』の甥だろ? 淋しい?つまらない?贅沢?僕は努力してこの一人部屋を勝ち取ったのに? 一人部屋は生徒会役員含め何人も居るが、僕が選ばれた。 理事長曰く、家柄、容姿、学園での立場的に一番人畜無害そうだと。 馬鹿にしてるのか? そんな理由で一人部屋を無理矢理二人部屋にするわけ? 一人には一人の、二人には二人の、大部屋には大部屋の間取りがある。二人部屋に行けばいいだろ。 理事長も理事長なら甥も甥だ。めんどくさい。 特待枠から外されない為に成績の維持は必須だ。 大丈夫かよソイツ?そんな我が儘放題のボンボンが居て、ちゃんと勉強できんのかな… [*前][次#] [戻る] |