いっぱち物語(仮) 6 ――チュッ 「安心しろよ、掘らねーから。お試しだっつったろ」 唇が一瞬暖かいもので包まれたと思ったら、揉み込むように食まれて、ちっちゃなリップ音がした。 突然の事で思考が上手く働かなくて、反論しようにも未だに唇同士がくっ付いてて、その状態で、掠れた声で、囁くようにクマさんが話すのがいけない。目ん玉かっぴらいてちゅーっておかしい。お互いがお互いの目を見たまんま。熱っぽい、潤んだ瞳で見られてる。 しゃべれない。 クマさんの吐息が熱くて、喋ったらオレの熱さもきっとクマさんに伝わる。だってもう熱い。合わさったままの唇に神経が集中してるせいか、じんじんしてきた。 なんだろ?何これ?ちゅーって、キスって、こんなに恥ずかしいもんなんかーーーーーーーーい!!!!! 「ぶくっ!――〜〜っぶぁはっ!ぁはっ――ははははは!!」 「へ?」 急にクマさんが噴き出したと思ったらうずくまった。 どーやら腹を傷めるほどの大爆笑らしー。喉を引きつらせて、所々笑いをとぎらせながら床を引っ掻いてる。 イラッ [*前][次#] [戻る] |