いっぱち物語(仮) 13 ゆっくり、頭の輪郭をなぞるよーに撫でてあげる。 汗で湿気ってるのもあるかもだけど結構ゴワゴワしてるっつーか、硬い髪質だなー。くせっ毛だし。 クマさんは目をつぶってされるがままだ。 …………………… ごめんクマさん…… 何か、ダメな気ぃする。クマさんとのマジな空気ってちょー照れくさい。マジでちょームリ。ガチで。 「よーしゃしゃしゃしゃしゃ!」 「あだだだだだだだだ!」 「おぶっす!!」 ムツゴロウさんばりに撫で回すと痛かったみてーで、まとめた指先で腹をド突かれる。マジちょーイテーし! 「何すんのよー」 「オメェが何すんのよ」 腹摩りながら抗議してっとクマさんの頭が目に入る。わお。オレちょーカリスマじゃね?神懸かってね?時代の最先端駆け抜けるナウいヘアースタイルになってんだけど!ボンバヘッダー・クマと名付けたい! 「…カリスマッシュと呼んでくれ」 「カ…カリスマッシュ…」 サンキュー!! と、クマさんが呆れたみてーなため息をつく。 「ハァ…わかったわかった、お前が照れてんのはよぉぉぉぉっっっくわかった」 「ぎくり」 「シリアスな空気が持続しねぇっつーのもよぉぉぉぉっっっく理解した」 「どきり」 「だから、こんだけな」 「はイ゙ッ!!?」 「はい?」っていー終わる前にキョーレツなチョーパンを食らった。 「ぐおぉぉぉお…」 こんの石頭めぇぇぇ!! しかも何を思ったんか、デコ抑えて悶えてるオレの胸倉を締め上げてくる始末!鬼畜の所業!! 「いいか?イッパチ…」 元々低いクマさんの声が更に低くなってビビる。普段は落ち着いた耳障りのいい低音なのに、今のは完璧ヤクザ入ってる。地を這うっちゅーか、おどろおどろしーっちゅーか、しかもすっげメンチ切られてんだけど… 「今度、また、俺を心配させてみろクソガキ」 め、目が血走ってる…… 「ブチ殺す」 今死にそーです… 最初言ってたとーり、次の授業の為にクマさんは学園に戻ってった。オレも遅れて行くよーっつったら睨まれたけど(ただ見てただけかもだけど、目の据わりは継続中だった)休めとは言われなかった。まーよ、フッツーに考えて一発殴られただけだかんね、冷やしとけってゆー。そんぐらいで休むなってゆー。甘えんなってゆー。 にしても恐ろしかった…心配は嬉しいけど、心配させたら殺される……あれ?心配ってなんぞや? オレは心の汗をそっと拭った。 [*前][次#] [戻る] |