いっぱち物語(仮)
11
「なーんクマさんってばオレん事好き過ぎっしょ。ちょい上がって待っててー、水持って来たげるー」
とか、水を取りにクマさんに背中向けたオレには、クマさんが荒い息ながら、オレの言葉に複雑な表情を浮かべてたなんて知らんかった。
それでなくともクマさんの気持ちとか知らんかったからね、オレ。
水とデコ冷やす為の濡れタオル持って授業は大丈夫なんか聞いてみると、この時間は大丈夫なんだと。でも次は授業あっから長居は出来んのだと。
授業なくても仕事はあんだろーに、おばかだねー。うひひ
「俺はいいから、自分のほっぺた冷やしてろよ」
「くひっ、クマさんがほっぺたとかウケるwww」
「あーはいはい、ウケるウケる」
とか投げやりにいーながら、テーブルに置いてた溶けかけの氷をオレのほっぺに宛ててくる。
クマさんがソファーに座ってオレのほっぺ冷やしてて、オレは中腰で立ったままクマさんのデコ冷やしてる。
………わけワカメ。
氷袋を受け取って、濡れタオルをクマさんに渡して隣に座る。
「ちゅーかクマさん歳考えれよ。気持ち若くても体はそれに着いてかんのよ」
下から覗き込むよーに前のめりで、ニヤニヤ笑いながらゆーと眉間にシワを寄せる。
「男は永遠の少年だっつー言葉を知らねぇのかスカタン」
「ブァハッ!!あっひゃひゃひゃ!クマさんが少年とかw少年とかwww」
オレモツが捩くれちゃってヒーヒーゆってたら、クマさんにベシッと後頭部はたかれた。
痛し!!
そーいやスモックの似合う幼少期、カバンいっぱいにダンゴムシ入れて帰ったらババァにマジ殴りされた。若かった……
て、あ。
ポタリと垂れる鼻血。またかよー。なーんか粘膜弱くなってるしー。あ、クマさんあわあわしてる。
「だーい丈夫だって、クマさんのせーじゃねーし〜。ずっ。ちょいティッシュとってー。ずっ」
「スマン。あーあ、服に付いたな。悪かった」
クマさんのせーじゃねーっつってんのに、律儀だねー。
鼻に突っ込んだ瞬間ティッシュがどんどん赤くなる。
「お前…台なしだな…」
「ほっとけぃ」
人の顔見て台なしとは失敬だなコノヤロー。
一段を捨てて、二段目を投じよーとしたらその手を掴まれる。
「?なん?クマさーーー」
瞬間、ベロリと。上唇に引っ掛かった舌は、垂れてきた鼻血を舐め上げる。
「ちょっ、わっ、わっ、わっ」
いやいやいやいやいや!フツー鼻血舐めるか!?
後退しよーとするオレの太股に跨がって、両手首を背もたれに押さえ付けて、尚も舐め上げてくる。
逃がさないよーに、体重こそかかってないけどどっかり乗り上げられて身動き取れねーし。臍下辺りに、まだ柔いけど立派なもんが当たってて、え、ちょ、ちょいちょいちょい!マジすか!?そーゆー流れスか!?
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