少し昔話をしようか(金時編)
[銀八視点]
なんで…なんでホストになんかなろうって思ったんだよ。俺は…まともに生きていけるようにコイツらをしつけて一緒に生きてきたつもりだった。
けど実際は、全部無駄だったってのか…
「…落ち着いてきたか?銀八」
「………」
やっぱり子供だった俺じゃ、しつけなんて大層な事出来るわけなかったのか。
…でも…銀時やパー子は割とまともに成長してきてる。なのに…なんで金時だけ…
「…銀八?」
「俺は…ダメな兄貴だな」
銀時の頭をくしゃくしゃと撫でながら苦笑した。ベッドに腰掛けたまま、ため息を漏らす。
すると、隣に座ってた銀時が立ち上がり俺の目の前に来てまだ幼さの残る体で、力一杯抱き締めてきた。
「銀八はダメな兄貴じゃねぇよ?
寧ろ俺達にとっちゃ…すっげー頼りになる大好きな兄貴だから」
「…さんきゅ…銀時」
俺がコイツらを慰める時いつもやってる様に、優しく話しながら頭を撫でてくる銀時。
「…実はな…金時も俺も知ってんだ、金に余裕がない事…」
「!……いつから知ってた?」
「3ヶ月くらい前…かな」
「……そうか」
「この事知っちまったから、金時は大学行くの止めて就職しようって考えたんだと思う」
銀時の推測は、高卒で就職できて尚且つ出来るだけ金が稼げる職業を考えて出した答えがホストだったんじゃねぇかって事だった。確かに…頭の悪い金時が必死に考えた結果がホストってのは…納得出来なくもない。
「金時も銀八が好きだから、これまでずっと面倒見てきてくれたから、だからこれからは少しずつでも楽させてやりたいんだと思う」
「……」
「…だから…さ、金時の奴を殴ったりとかしないでほしい…」
「…分かったよ、もう殴ろうとはしねぇ、反対もしねぇ。つかそんな話聞かされて殴ったり反対したりとか出来るわけねぇだろ」
ぎゅっと銀時を抱き締めてから軽くキスをして、俺は金時の部屋へと向かった。
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