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少し昔話をしようか(金時編)
 

[金時視点]


銀八のためにって思って決めた事なのに、銀八の奴…すっげー怒ってた。

でもいいんだ。
たとえ…もう口を利いてくれなくても、それでも銀八の負担が少しでも軽くなる可能性があるなら、俺はこの道を選ぶ。

んでもって明日は面接的な事しに行くんだ…なんか、緊張する。俺はまだ未成年だし…やっぱ歳は誤魔化した方がいいのかな。


一人でそんな事を考えてたら、部屋の外から銀八の声が聞こえた。


「金時、入るぞ」

「……うん」


今度は何て言われるんだろうかってドキドキして体が固まって動けなかった。俺は俯いたままで、銀八は俺の隣に座ると少し間を置いてから口を開いた。


「…お前はまだ未成年なんだから酒は飲むなよ」

「…え?」

「……銀時から全部聞いたよ、お前がなんでホストになろうと考えたのかも」

「…そっか。
で、反対しねぇの?」

「バカ、出来るわけねぇだろ。そんなにも俺の事好いてくれてちゃあ…な。悪い気はしねぇや」

「…なんか…銀八気持ち悪い」

「お前な」


上手くいくかも分からないのに、それでも許してくれんだ。ちょっとは信頼されてるって事なのかな…それか期待されてるか。


まだ何も始まってないのに、なんだか嬉しくなってきて銀八に寄りかかった。銀八は優しく抱き締めてくれて、俺はそのまま甘えるように抱きついた。


「…まぁ不安もあるだろうが、お前のやりたいようにやってみろ。
それで失敗しても、誰もお前を責めたりなんかしねぇから」

「……おう、さんきゅ…銀八」


この時改めて思った。
銀八が兄貴でよかったって、こんな優しくて頼りになる兄貴が大好きだって。




なのに…いつからか、銀八は変態っぷりを発揮しだして…何かオヤジ臭くなってきて…なんて言うか…自慢の兄貴だって思えなくなってきたかも。

まぁ、それでも大好きな兄貴だってのは変わりねぇんだけど、あの頃の銀八の方がまだ格好よさとかあった気がする。



END





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