少し昔話をしようか(金時編)
俺と銀時が高校生だった頃の話。
銀八の奴はまだ教師になったばっかで、パー子は中学生。
高3になって周りの奴らは受験を意識し始めてた。みんな必死に勉強して、なんか居心地悪いように感じる。
夏休みになっても勉強をしようとしない俺に、見兼ねた銀八が自分の部屋に呼び出して説教してきた。
「おい金時、お前今の成績で大学行けると思ってんのか」
「まぁ無理だろうね」
「分かってんなら勉強しろ」
「いやだ」
「…お前な…」
呆れたようにため息を吐く銀八を見て、俺はずっと考えてた進路を話すことにした。
もちろん大学進学じゃなくて、今やってる仕事に就く事を。
「銀八、俺ホストになるから大学は行かねぇよ」
「…は?お前…今なんて……」
「ホ、ス、ト、になるの」
「……」
俺の言葉を聞いた銀八は、ポカンとした顔をして固まっちまった。
まぁ無理もないか、いきなりホストになるとか言われても。
けど、これが俺なりに真剣に考えた結果なんだ。ホストになってNo.1になれば、金がたくさん手に入る。
だから俺は、ホストになって絶対No.1になってやるんだ。
「…金時、勉強したくないからってそんな言い訳が通用すると思うなよ」
「言い訳じゃねぇもん。これが、真剣に考えて俺が出した答え」
「ホストなんてなるもんじゃねぇよ」
「俺は、ホストになってNo.1になってやるんだ!!」
「いい加減にしろ!!そんなの俺は認めねぇからな!!」
「別に認めてもらわなくてもいいっつーの!!この家から出ていってでもホストになってやるから!!」
「金時…お前って奴は…!!」
銀八が拳を振り上げて、殴られると直感した俺はとっさに目を閉じた。でもその拳は俺に当たる事はなくて、目を開けてみると銀時が銀八にしがみついて殴るのを阻止していた。
「落ち着け銀八!!」
「離せ銀時!!このバカにゃ口で言ってもダメなんだよ!!」
「パー子が泣いてんだよ!!喧嘩してほしくねぇって!!」
「…っ」
銀時の必死の説得でようやく拳を下ろした銀八は、俺を睨み付けたまま何も喋ろうとはしなかった。
んでもってこれ以上ここに居ても無駄だと判断した俺は、銀八の部屋から出て自分の部屋へと戻ることにした。
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