11 次の日、銀時は昼休みに屋上へ来なかった。 新しく出来た友達と教室で弁当を食ってんのか、それとも何かあったのか……俺には全く分からなかった。 銀時の教室を覗いてみようかと思ったが、受験も近づいていた俺にはそんな余裕はなかった。 「…何もなければいいが…」 だが、そんな不安は1日経って消え去った。 「せんぱーいっ!!」 いつものように、俺より先に屋上へ来ていて大きく手を振る銀時。 銀時の表情から見て…悪い事はなかったようだ。 「先輩っ、俺やったよ!!」 「…友達出来たのか?」 「うん! ヅラって言う奴なんだけどね…」 楽しそうに友達の事を話す銀時。 その姿を見てホッとする俺はまるでコイツの親になったようだな。 まぁでも、友達が出来たんならよかった。 「あとね、高杉って奴も友達になった!!」 「二人も出来たのか」 そりゃよかったな、と頭を軽く撫でて笑いかけると銀時も笑みを返してくる。 これでコイツはもう大丈夫。 俺なんか居なくてもその友達とやっていける。 俺も安心して受験勉強が出来るようになるな。 なんて心の中で呟き薄く笑った。 「…銀時、俺はそろそろ受験勉強を死ぬ気でやらねぇといけなくなった。 だからこうしてお前と会う事もほとんど出来なくなる」 「…うん…だから先輩は友達を作れって言ったんだよね。俺が1人で寂しくならないために。 ……先輩とこうして会えなくなるのはやっぱり寂しいけど…頑張ってね、大学受験」 こうして…しばらく銀時と関わることは全くと言っていい程になくなり、俺は完全に受験モードへと変わっていった。 [*前][次#] |