6 なんでコイツがそんな事知ってんのか何の心当たりもなくて、ただ動揺を隠そうと平静を装った。 だが、否定する言葉は何一つ言えなかった。 「……やっぱり… 先輩、最近恋人と別れたもんね」 「な…っ……」 どうして、なんでコイツはそこまで知ってんだ。 屋上での事を聞かれてたのか… 何にせよ、このままだとヤバイ。 教師と生徒が付き合ってた事が、バレちまったんだ。 「お、おい銀時……」 「…なんで知ってるのかって思ってるでしょ」 俺が誰にも言わないでくれと口止めをしようと口を開くと、銀時は呟くように話し始めた。 俺、ずっと先輩の事見てるから…なんとなく分かるんだよ。 少し前までは…先輩すごく幸せそうだった。昼休みが終わったばかりの時間とか特に。 一人で歩いてて愛しい人を想ってるような顔したりしてたし。 でも…最近の先輩は変わった。 いつも…どことなく寂しそうな顔をしていて、毎日が辛そう。 愛しい人を想ってる顔を、見なくなった。 だからすぐ分かったんだ。 先輩は好きな人と別れた。でも、まだその人の事が好きなんだって。 「………」 「そうでしょ、土方先輩」 コイツは…そこまで分かってたのか。 だが、疑問が残った。 [*前][次#] |