5 「……ありがとう、土方先輩」 「…っ」 銀時の笑った顔を見て、思わず顔を逸らした。 あの時の……別れを告げた時に見せた銀八の笑顔と、重なったから。 忘れようとしてたのに、 忘れられない。 どうしてあの時笑顔を見せたんだよ。 そのせいで、諦めきれねぇじゃねぇか… 「先輩…?大丈夫?」 「…悪い、大丈夫だ」 どうしたら…この気持ちを消せるんだろうか。 どうしたら…諦めきれるんだろうか。 俺には、どうすればいいのか分からねぇ。 「…なぁ…」 「ん、何?」 コイツに…聞いてみようか… 「……お前…付き合ってる奴いるか?」 「えっ…!?」 いきなりの質問に慌てる銀時。 俺は目を逸らさずじっと見つめる。 「…付き合ってる人は…いない。 つーか俺なんかと付き合ってくれる奴がいるのか疑問だし」 俺、何の魅力もないしなぁ…なんて言って苦笑いをする。 「……土方先輩は、クールでかっこよくて頭も良いし……羨ましいな。 付き合ってる子だって…」 「付き合ってる奴はいねぇよ」 少し前まではいたのに… なんてらしくねぇ事考えちまう。 やっぱり俺はまだ…銀八の事が… 「……好きな人はいるでしょ」 「っ…!」 コイツ……今なんて… 好きな奴がいる…だって? [*前][次#] |