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「せ、先輩?」

「…悪い…急に抱き締めたりなんかして…」

「いや…それは別にいいけど…」



なんでコイツが俺について回ってたのか、分かった気がした。
なんでコイツは俺としか絡みたがらないのか、分かった気がした。


コイツには心から信頼できる友達がいないんだ。
だから、中学ん時に助けてもらった事のある俺について回ってたんだ。


「…お前、また苛められてたりとかしてねぇよな?」

「え……うん…今のところは…」

「そうか…ならいい。

……銀時、」

「な、何…?」

「…信頼できる友達を作れ。
もちろん俺以外で」


そう言うと、銀時は一瞬目を見開いて俯いてしまった。まぁ…急に言われても無理だろうな。

でも、それじゃあいつまで経ってもコイツは変われない。銀時のためにも…自分でちゃんとした友達を作らなきゃいけない。


「…一応…コイツなら信用できるかなって奴はいるんだけど…自分から話し掛けれなくて…」

「逃げたらダメだ。
それじゃ前には進めないだろ?」

「………」


俯いたまま黙り込んでしまった銀時をあやすように頭を撫でて、優しく声をかける。

「大丈夫だ。お前なら出来る」

「………うん」



キーンコーンカーンコーン……


「…俺…頑張ってみます」

「あぁ、頑張れ」


これで上手くいけば…銀時は絶対に変われる。
1人でも友達が出来れば、不思議とどんどん増えていくもんだ。そうなりゃ苛められる心配もなくなるだろ。


頑張れよ…銀時……。



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