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 勘違いか否か
 

学校なんてつまんない、楽しい事なんて一つもない。あ、ダチとふざけ合うのは楽しいけど。でも勉強なんてクソくらえだ。

俺は優秀な両親の血を引いていてあまり勉強しなくてもそこそこ出来る。だからちゃんと3年まで上がれてる。でも授業には真面目に出ない、ある人の授業を除いてはだけどね。



まぁそんなこんなしてると多少は俺の名前は知れ渡るみたいで、先生はもちろんだけど生徒にも名前を知られてる俺。ただでさえ見た目とか目立つってのに…名前まで知られるなんてなァ。


「おい坂田、聞いてんのか」

「…あーはいはい、もっちろん聞いてますよ土方先生ー」

「…聞いてなかっただろお前…」


土方先生は俺の今の担任。
2年の時にこの学校に来た先生で見た目からしてかなり怖そう。でも実際は怒鳴りつける事とかしないし、むしろ優しくてたった数日間で女子に大人気の先生になった人だ。


「まぁいい。とにかく、真面目に授業に出ろ」

「ちゃーんと出てるじゃないですかぁ」

「俺の授業だけじゃねぇよ。他の授業もだな…」

「嫌、絶対に他の授業には出ないから」


先生が話してるのを遮るように大きめの声で言う。そうすれば先生はため息を吐いてなんでだって聞いてきた。


「みんな嫌いだから。土方先生は授業すんの上手いし嫌いじゃないから真面目に授業出てんだよ」

「…お前な、いつまでもガキみたいな事言ってんじゃねぇよ」

「とにかく、俺は土方先生以外の授業出る気はないから。
なんかご褒美くれんなら出てやってもいーよ?」


こんなこと言ったって褒美なんてくれるわけない事ぐらい分かってる。でもこれで土方先生も諦めてくれるはず。

そう思ってたのになぁ。


「…分かった。
何が欲しいんだ?言ってみろよ。
出来るだけお前の欲しいもんくれてやる」

「……なに、マジで言ってんの?
そんなことしてバレたら先生がクビになるだけだよ」

「んなこと分かってんだよ。
クビになろうが構いやしねぇ、お前が真面目に授業に出て大学行って、ちゃんとした大人になれりゃあいい」


きれいごとばかり言う土方先生がバカらしくて、思わず大笑いしちまった。


「あっははは!!!!バッカじゃねーの?んなきれいごと並べたって何も感動しねーよ俺は」

「別に俺は感動させようとしてねぇよ。ほら、早く言ってみろ」



真面目な顔して聞いてくるもんだから、その顔に少し苛立って絶対に俺には与えられないものを要求しようと思った。

だからといって、1億円とかそんなありきたりな事は言わない。もっとこう……相手の度胆を抜く事じゃないと面白くない。

少しの間考えて、すっげーいい案を思いついた俺は口端を吊り上げてニヤリと笑った。



「じゃあさ、土方先生をちょうだい」

「……は…?」

「俺の欲しいもの、土方先生を自分のものにしたい」


にこにこしながら言ってやった。
土方先生の奴、目を見開いて固まってる。ざまーみろ、早く諦めるこったな土方先生。


「………分かった、つまりお前と付き合えばいいんだろ」

「え?」


土方先生の度胆を抜いてやろうとしたのに、逆に俺が抜かれてしまった。

こうして俺と土方先生は、付き合うことになったんだ。









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