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交錯タイトロープ
10-11



扉を抜けた蒼史郎が見たのは人の気配が全くない、山間。
古い旧道だったのか、ひび割れの多い道路だけが前後に続いていた。
「おいおい、流石に何処だか分からないな」
蒼史郎は携帯のGPSで現在地を検索。どうやら一蕪木野市の山間部奥地だという事が分かる。
「さっきの工場地帯から相当離れたな…。こいつは戻るのが厄介だぞ」
扉はここに到着した時に消えてしまった。相手の思惑を考えるに、闘いの勝敗を関係なく、こちらの戦力を分断するのが目的だろうとは予測していた。しかしながら、市街地からも離れた場所では、援護をするにしてもされるにしても時間が掛かり過ぎる。
闇夜をぽつぽつと頼りなさげに照らす、僅かばかりの街灯の先へと振り向くと、そこに人影が現れた。
「貴様か…」
そこにはあのライダースーツの女戦士「D」が立っていた。再びの対峙に、蒼史郎に表情は緩む。
「やっぱり、か。何と無くだが、俺の相手はアンタのような気はしていたよ」
対する女は蒼史郎を睨み付けていた。
「先日の宣言通り殺してやる」
Dの静かに動き出した気迫と共に、彼女の瞳が赤く光る。そして、ライダースーツの背中が破れ、紅蓮を放つブースターが現れる。
「詫びも要らない、恨み言も甘んじて受けよう。それでも私の鉄槌を遮るなら、容赦なく粉砕するッ…」

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あきゅろす。
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