交錯タイトロープ 4-10 交錯する両陣営の視線。意思は読めないが、あのアルバートと同じく敵である事は間違いないと恭とキースは確信していた。 だが、突如としてサリアから変容した魔女クェルナの存在もまだ明かされてはいない。敵意は無い様だが、現在の所は敵か味方か、その天秤は明確に傾いてはいない為、不確定要素でしかない。 各々の緊張が続く中、クェルナは黒巣に向けて口を開いた。 「それで結局の所、汝等は何が目的だ?自己紹介をして仲良くなりに来た訳ではあるまい」 「ま、その通りですねぇ。はっきり言えば、そこで倒れてる彼──アルバート君に協力して貴女、『百なる魔女』を捕らえに来たと言いましょうか」 「何だと…」 恭の拳が握り締められる。だが、黒巣はこの状況を楽しんでいるのか、貼り付けた様な微笑みを絶やさない。 「ああ、それと、アルバート君と同じく、我輩もそこの少年が気に入りました。宜しかったら今度お茶でもしましょう」 「なっ!?」 老紳士の言葉にクェルナとトゥエトゥエを除いた全員が驚きの余り、恭に視線を注ぐ。 クェルナは瞼を僅かに閉じ、「魔女の記憶」を呼び出す。時間を遡り、ある場面を抽出した所で口を開いた。 「──事象改竄か」 [*←前][次→#] [戻る] |