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交錯タイトロープ
4-6


「──見ィィィつけたァァァァ!!『魔女』ォォォォ!!」


突如の絶叫。
その叫びと共に豪雨の音は蘇り、ほぼ全員の視線がその声の主に注がれる。

──拘束服の青年。

彼は長い髪を振り乱し、隠れていた両の眼を剥いて『彼女』を網膜に焼き付けている。
青年の形相は憤怒に染まり、その感情に呼応し己が拘束を力任せに外し始めた。
「見つけた見つけた見つけた見つけた見つけた見つけた見つけた見つけた見つけたあああああああああああ!!」
(──何だ、アイツ!?サリアに気付いた途端にとんでもなく殺気立ちやがった!!)
服の下の筋肉が膨張してベルトが軋み、両腕を縛る鎖が次第に弾けていく。
だが、その額を触れる腕があった。
「待〜ちなさい、アーゲイン。今日は顔見せだけだって言ってるでしょ?それにアルバート君を回収してやらなきゃ、彼も死んじゃうからねぇ」
「ああ!?腐れメガネがどうなろうが知るかよ!!」
青年──アーゲインに触れている初老の男が年相応には見えない軽い笑顔を見せる。しかしアーゲインの噴出する感情が収まらない事に彼はその瞳を細くする。
「落ち着きたまえ、アーゲイン。それとも我輩が君を殺そうか?」
「!!」

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