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交錯タイトロープ
4-4
「……こ、れは!?」
彼の見ている最中に少年──恭が驚嘆の声を漏らす。その言葉に理子もキースも、その場に居た全員がサリアへと注目する。
彼女から放たれていた光は時折テレビに走るノイズの如く不可解な音を立て、彼女の姿をぼかす様に部分的に実像を歪ませた。その間隔は次第に短くなっていき、サリアは身体の輪郭を保ったまま、下腕や太股、脇腹や胸にまるでモザイクや万華鏡を散り嵌めた様に、像が乱れていく。
「どう…なってん…だ?」
声にならない声が恭から漏れる。それはまるでサリアが何かに分解されている様な、奇妙な光景。
その時、恭の脳裏に何かが過ぎった。



『…あらぁ…?子犬ちゃん…壊れちゃったの…?駄目よ、もっと…遊んで頂戴…』



心臓が大きく跳ね上げる。
夢に見た光景が恭の中で反響。何か、とてつもない嫌な予感が彼の中を滲み出していた。

次の瞬間、サリアから放たれていた光は魔法陣に形を変え、地に伏していた彼女へと通過する様に消えていく。ぼやけていた歪んだ像はパズルの様に組み合わせられ、再び実像を取り戻していく。

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あきゅろす。
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