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交錯タイトロープ
4-2
キースが視線を動かすと、更に二人より間を空けて短髪の人物が雨に濡れながら佇んでいる。ライダースーツを身に纏った長身と肩幅の広さから男と見紛いそうだが、身体に浮かび上がった僅かに分かる隆起と顔の作りは女性。但し、厳しく引き締められた表情から精悍さが伺えられる。
「此処が21世紀か」
「Dクン?嬉しいのは分かるがね、キミが自由になるのはちゃんとお仕事をこなしてから。だから、まだ慌てないで欲しいなぁ」
「フン…分かっている。貴様等異世界の人間に手を貸すのもコレで最後だ」
「う〜ん、おっかないねぇ。でも、その怖いコワ〜イ腕っぷしを漸く披露出来るんだ。せいぜい頑張ってくれたまえよ」
精悍な女性──Dは胡乱げに男から目を離し、恭達を睨む。
また、男の左には顔が隠れる程長い白髪の青年が立っている。しかし、彼の身に着けている服は幾つものベルトによって縛り上げられており、両腕は完全に動かない様に更に鎖で固定。両足もベルトに繋がれた革紐により稼働範囲が制限されている。所謂、拘束服を身を縛った青年は間怠っこしげに頭を上げた。
「ァァァ?メガネの野郎、死に掛けてやがるじゃねぇかよ?」
視線の先、半身と白衣を赤く染め上げたアルバートの姿が映る。

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