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交錯タイトロープ
3-20

恭は自身が死んだと思った。理子を狙った弾丸から死に物狂いで盾になろうと突き飛ばしたのに、その弾丸から自身の怪我まで、ほんの僅かな間に起こった全てを掻き消したなどと思う筈もなかった。
隣から揺さ振る理子の声から漸く自分自身が生きていると理解出来ているのだ。
「恭!?ちょっと大丈夫なの!?恭!!」
「……あ、ああ。生きて、る、のか?」
実感の湧かない生存に頭が回らない。その瞬間、再び彼に激痛が走る。
「グッ!?ガアアアアアアアアア!!!!」
「恭!!」
常識を超えた状況を理解出来ないままただ見守っていた理子の、そして加害者であった筈のメイの視界に、先程の恭の怪我をした姿が断片的に飛び込んでくる。
「……是は、一体?」
その姿が次第に映像的に刷り込まれれば刷り込まれる程、恭はのたうちまわり、激痛が蘇っていく。
切り裂く、噴き出る、抉り取られる。意識が様々な苦痛に掻き回され、次第に怪我をしていた方の自身に刷り合わされていく。
それを目撃している少女と女性にはその現象によって、少年が「死ぬ」のではないかと実感の無い感覚によって予感している。
そしてそれを体感している恭自身は、再び死への感覚を味わっている。

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あきゅろす。
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