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交錯タイトロープ
3-9
濡れた視界に鼻血を流す渋谷の姿が映る。しかし、拘束からの脱出の代償に無理矢理放った頭突きで恭は脳が揺れ、フラついていた。
その様に気付いた羽間が埒が開かなそうに渋谷に声を投げた。
「オイ渋谷よォ?オメー、そのプライドはいいから、今のうちに全員で潰した方が早くねェかァ?」
しかし羽間の提案に渋谷は鼻血を拭いながら、鬼気迫る表情で答えた。
「──黙ってやがれ、クソザルが!!このガキをシメんのはオレなんだからよ!!」
彼らは一枚岩という訳ではなく、単に「チョーシこいてる目障りな後輩を潰す」目的が一致し、集まったただの荒くれでしかない。
渋谷が何故タイマンにこだわるのか分からないが、羽間からすれば今はチャンス。隣に立つ津島に目を合わせ、濡れた地面に一歩踏み出そうとした。
その前をゴーグル姿の村本が無言のまま立ち塞がった。
「オウ、テメェまで邪魔すンのかよ!?」
「……邪魔してるのはお前等だ」
何やら内輪揉めが始まったらしい相手側を、ダメージの残る、揺れている脳で感じ取った恭だったが、渋谷の再び始まった猛攻に防戦を止むなくされる。

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あきゅろす。
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