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交錯タイトロープ
10-8
「…どういう事だ?」
事前に工場の間取りを調べていた蒼史郎は、工場の中心にこのような扉が一つもない事を知っていた。そんな疑問を覚えているとどこからか声がした。
「ようこそ、諸君!我輩のパーティーに!」
暗闇に響く黒巣の声。辺りを見渡すが姿はない。
「何処だ!何処にいやがる!?」
「慌てないでくれたまえ。まず説明しよう」
黒巣の声に続き、扉の前に立体映像が投影される。
「今この街には、街を吹き飛ばす威力の魔法陣が構築してある。それの起動用魔導器を我々が三ヵ所で守っている。その内一カ所にあの人質のお姫様はいるよ。そして起動設定時間は今から30分後。それまでに我々を退き、魔導器を全て停止出来たなら、諸君の勝ち。一つだけでも失敗した時点でこうなるよ」
投影された映像は一蕪木野市の全景を映し、魔法陣が一帯に展開、発動した瞬間、爆発が一気に街を飲み込んでいく光景を映し出す。
「そして、その魔導器はこの街の何処かにある。この二つの扉は魔導器のある場所に繋がっている」
説明と共に投影した映像は消える。その黒巣の言葉に対して、疑問を覚えたキースが尋ねる。
「三ヵ所なら、一つ足りないようですが?」
もっともな指摘に対し、黒巣は答えない。そこに、何者かの声が響き渡った。

「一つは此処だァッ!」



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あきゅろす。
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