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交錯タイトロープ
1-3
「…お、…ぃ?サリ、ア…」
「こんなに…こんなに…熱くて、もう…どうにかなっちゃいそうでしょう?」
そう囁きながらサリアは恭の上で彼の心臓を胸に抱き、白い手を血で赤く染めていく。その白い肌と赤い血、そして黒のドレスと、奇妙なコントラストに染まったまま、焦点がぼやける恭の視界に映る。



そして、赤が弾けた。



「!!!!!!?」
「暖かくて、気持ちいいわよ…貴方の血…。私も気持ち良くて…嬉しい…」
握り潰した恭の心臓から弾け飛んだ夥しい血をその身に塗り付けながら、彼女は小さく痙攣しつつ、恍惚の表情で笑っていた。
「…サ…リぃ…、…ア…」
自身をも赤に染め上げながら、上目遣いのまま焼き付けた、愛しい人の、狂っている姿。
「…あらぁ…?子犬ちゃん…壊れちゃったの…?駄目よ、もっと…遊んで頂戴…」
その恐怖と淫靡さを兼ね合わせた妖艶な微笑みに、恭の視界は黒く沈んでいった。





──黒く……暗く──

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あきゅろす。
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