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交錯タイトロープ
10-5
「…おい、プロフェッサー、ネズミが居やがるぜ」
その者は拘束服に身を縛った長髪の男──アーゲインであった。
男は殺気だった視線を渋谷に向けて、隣に立つ黒巣に声を掛ける。
「何処から迷い込んだか知らねぇが、殺すか?」
「む…、待ちたまえ。確か、あれは」
黒巣にはあの青年の姿に覚えがあった。
「確かメイ君の資料に載ってたな。彼はハザマ君の元仲間だったけど、仲違いして今は少年の側で青春してるんだったか」
「あァ?じゃあ、奴らルール違反じゃねえか?」
「いいや、彼は少年の身内ではあるが能力者等ではない、そこいらの一般的な腕自慢なワンパク少年だよ。物の数には入らない。
それに少年や魔女があの少女を人質に取られて約束を守らない筈はない。恐らくは彼の独断行動だろうね」
「ハァ?じゃあ、ただゴミが来ただけじゃねぇか。殺っちまおうぜ?」
アーゲインはもう後数分で始まる闘争を前に猛り立っている。所詮、この場に居合わせた事があの青年の不幸なのだと、その目が語っている。
しかし、黒巣は彼を制止する様に遮り、笑みを浮かべた。
「我輩、一つ面白い事を思い付いたよ。あの訪問者にはこのパーティーに付き合って貰おう」

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あきゅろす。
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