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交錯タイトロープ
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一蕪木野市の海岸沿い。この街が開発特区である為、様々な企業が工場を建築している。
だが、その一角で操業を停止している工場があった。
CCC──「Christopher Chemical Company(クリストファー・ケミカル・カンパニー)」という世界レベルの薬品開発企業の有する日本支社工場であったが、本国の経済危機の余波で工場を停止。業績が安定している今も工場の稼動を見合わせ、その敷地だけは権利を持ったまま、立入禁止になっている。それは業績悪化時に起きたであろう、撤退するか否かの混乱の跡が無人となったこの工場の乱雑さを物語っていた。
そんな暗闇の敷地で何かが動いた。
「一体、ここの何処に居るってんだ?」
それは恭達よりも先に飛び出していった渋谷である。廃工場の中は暗いが、犯人がいる以上は何処かに明かりなり人の気配があると思っていた彼は、注意深く歩を進める。

窓から漏れる月明かり以外光源のない暗闇の中、その姿を捉えていた者がいた。


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