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交錯タイトロープ
9-4
緑の式に合わせ、黄緑の式が並列解除の波長を合わせる。変化を先回りして、結界の構築式を徐々に、それでいて効率的に解いていく。推測で変化に対して解除式を幾つも破棄と再構築を繰り返す。魔力吸収されようが最低限の防御を展開した上でお構いなしに、幾十もの式で攻勢を掛け続ける。
「……うっ……く……」
サリアに負担の色が現れる。苦しいが、そうも言っていられない。この機会を失うと、もうこの戦いには間に合わない。だからこそ現時点での全魔力を使った短期決戦に臨んだのだ。
自身に伸びる魔力吸収の帯を打ち止めつつ、解除式を多重展開。そして変化に併せて解除式を結界に差し込む。ただそれだけを延々と繰り返し、どれくらい経ったのだろうか。時間の概念が分からない以上、自身の感覚で推測するに10分か、それとも10時間か。その頃にはサリアに限界が見えてきた。
「ま…だっ…、まだ…なの!?」
解除に全力を注いだ思考の脇で、小さな苦悶が零れ始めたその時、

──ピシ…ッ──

遂に結界に綻びらしきものが見え、同時にサリアの目に勝機の光が宿る。
自身の力の残量を確認し、防御に回していた魔力も総動員し、結界の綻びに両手を掛ける。
「んああああああああああッ!!」
結界の再生と魔力吸収がサリアを阻もうとするが、サリアは最後の力を振り絞って解除式を展開。両手から伸びる魔力の式が結界に這い寄り、緩慢な速度で破っていく。

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