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交錯タイトロープ
9-1



「──ッ、あああああああああッ!!」
絶叫を上げてサリアは飛び起きた。
余りにも酷い悪夢に、荒い呼吸が止まらない。目は見開き、全身を脂汗が零れる。
周囲を見渡すが、惨状など何処にも起きていない。ここは魔女の記憶、クェルナの形成した結界の内だ。
「──なん、何なの……今の夢……」
心の内の言葉が零れ落ちる。思い返すだけで震えが起こる、死体の広がる光景。
夢だとしてもあんなリアリティのある夢を見て、気分が良い訳がない。
(気分、悪い……いくら何でも、夢っていうより魔女の記憶かしら…?)
先日恭に教えられた他の魔女の存在。その魔女の記憶が今の夢を自分に見せたのか?考えを巡らせてみるが、どれも推測の域を出ない。
鼓動が次第に落ち着いていくのを感じながら、悪夢を振り払う様にサリアは思考を切り替えた。


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あきゅろす。
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