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交錯タイトロープ
2-20
呆れ顔の悪友、早瀬も冷たく言い捨て、伊沢はリングでもないのに真っ白に燃え尽きた。
「…オナカ…すい…た…」
掠れ声を青空に浮かせて伊沢が倒れた時、無情に五人は揃って弁当箱を閉じた。
「女の子の敵ですよ、全く」
「流石にエナも怒ってるね」
そんな理子とエナの会話を聞きながら、恭は思った──「決定打は明らかにお前だったぞ、理子」と。
恭がそんな事を考えつつ、引き吊った笑いを浮かべていると、慶が立ち上がった。
「さて、と。僕は次の日本史の準備で、プリント取りに職員室に行ってくるけど、誰か手伝ってくれないかな?」
「あ、じゃあ私が一緒に行くわ」
そう言いながらエナがスカートに付いた埃を掃いながら立ち上がった。
「──そう。じゃお願いするよ。呉石さん。早瀬先輩や恭達はどうする?」
「俺はこのバカ抱えて、クラス戻るわ──って、重いなコイツ…」
ショックの余りに完全に脱力した伊沢を肩に抱えた早瀬は、そのまま屋上を去っていった。
先輩を見送りながら、恭は少しだけ思案し、慶に告げた。
「俺は……まだちょっと此処にいるわ」
「じゃあ、アタシはコイツがサボらない様にもうちょっとだけ一緒にいるわ」

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あきゅろす。
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