交錯タイトロープ 7-13 「そうではない。瞬時にイメージを構築するのだ。物理的な破壊よりも自身のイメージで事象そのものを無視して思い通りの展開を描くのだ」 「物理的な破壊よりも思い通りの展開…」 恭は身体を反射的に動かしているが、その瞬間だけではイメージが付随していない。魔法という未知の力を前に自身の力を通すには、その存在事象の理由を無視=否定して自分自身の範疇にある、常識的なレベルに引き下げる必要がある。 それらを瞬時に行う事こそが防御の為の事象改竄。つまり何よりもサリアが優先したい力であった。 (……ふむ) 何度剣撃を放っても最初の様にはいかない恭を見つめ、クェルナは目を細める。 「従者よ、少しやり方を変えるぞ」 「え?どういう事だ?」 「このまま悠長に修行を続けていても埒が明かない。多少なりとも厳しくする為に罰則を決めよう。一日一回でも失敗したなら、仕置きを汝に課す」 「仕置き?何をする気だ?」 クェルナの言葉に呆気に取られた恭だったが、その隙へ猛烈な勢いで魔弾が放たれる! 「なっ!?」 慌てて横に避けるが魔弾は左肩を穿ち、貫く! 「ぐあああああああ!!」 「悪いが、遊戯感覚で我は鍛え続けるつもりはない。鞭を使ってでも急ぎ足でやらせてもらう。死ぬ気で食らい付かねば、痛いだけでは済まされないぞ」 [*←前][次→#] [戻る] |