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交錯タイトロープ
2-19
「じゃあ恭ちゃんん!!」
「嫌ッス」(0.13秒)
「つれなァァァい!!そんな無愛想でノリが悪くて、誰彼構わず優しくないヤツァモテねぇぞォ!!」
早瀬仕込みの素っ気ない恭の反応に、伊沢の瞳が潤む。今ならば事情を知らない女子がたやすくその涙に陥落する可能性があるが、現在は知人だらけのホーム戦。いや、ある意味、伊沢の手の内を知られているアウェイ戦。情の一握りでも見せれば、その弁当は略奪される事を彼等は理解していた。
「ねぇ理子ちゃん!?こいつらヒドイと思わない!!血も涙も無い鬼よ、オニ!!鬼嫁(意味不明)よ!!でも、理子ちゃんはそんなヒトじゃないわよねッ!?」
何故か途中からオネエ言葉で泣き付こうとした伊沢に、氷の女王こと理子は無表情に箸を口に運びながら、冷たい一撃を放った。

「──静ちゃん」

カシャーンと伊沢の心のステンドグラスが割れ、頭の中をパイプオルガンが悲哀の曲を鳴り響かせた。
「うおおおおォォォ!!しーずーかーちゃぁぁぁん!!!!何か知らんけど謝るから、弁当ちょうだァァァァい!!!!」
「心当たりもないのか、バカが。因果応報だ。最近、無意味にナンパばっかしてるからそうなるんだ。もう、神田さんに愛想尽かされたんじゃねぇか?」

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