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交錯タイトロープ
7-8
サリアの熱意ある頼みにクェルナはしばし考え込む。そして少しの沈黙の後、
「良かろう」
クェルナは頷いた。
「それじゃあ…!」
喜ぶサリアに、虚をついたクェルナが魔法を展開。術の構築式を超高速で省略し、サリアの周囲に結界を形成した!
「キャッ!?何!?」
「慌てるな。今、説明する」
いきなりの捕縛に慌てるなというのもおかしい話だが、サリアを張本人であるクェルナは至って冷静に彼女に視線を注いでいる。
「今、汝の魂を我の結界に閉じ込めた。と、言っても完全に捕縛した訳ではなく、ただ外に出られぬだけだ」
「それって、どういう事なの?」
「端的に言えばこの結界から脱すればいいだけだ」
「え?」
どういう事か分からないといったサリア。
「汝の記憶を見せて貰ったが、汝は魔女の記憶で引き出した強力な魔法を使いこなしても、単純に魔力の総量が歴代の魔女より少ない。だからすぐに魔力を枯渇させる。それが汝の最大の弱点だ」
サリアにも思い当たる部分は多々ある。今までも魔力切れで不利な状態になり、相手に反撃を受ける事はあった。これまでに魔力の総量を上げる努力はしてきたが、現実にはまだまだ足りないのだ。
「だから我は汝の魂を結界に封じた。脱出するにはただこの結界を解除すればいい。但し、我も相応の魔力で形成した故、そうそうすぐには破れる物ではないぞ」
サリアはクェルナの形成した結界に手を触れてみる。確かに魔力の密度がかなりの物で、それが幾重にも障壁として構築されている。

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あきゅろす。
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