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交錯タイトロープ
7-7
クェルナの言葉に更にサリアは驚いた。さっき指で触れたのはサリアの考えを読む魔法なのだと気付き、彼女は改めて目の前の人物がかつての魔女だと確信する。そして微笑みを浮かべた。
「貴女に会う方法を色々考えたんだけど、これくらいしか思い付かなくてね。どうにか成功して良かったわ」
「馬鹿者。下手をすれば死ぬやり方だ。成功したからいいものの、普通そんな手段を取る時点で馬鹿者以外の何者でもないわ」
咎められ、少し反省するサリア。その姿に悪気があった訳ではない事に気付いているが、だからといってクェルナはサリアの行為を見逃すつもりはなかった。
「魂を使う術には命を削る可能性が大いにあるのだぞ。そうまでして我に会いに来たのは何故だ?」
「それは、私が強くなる為よ」
「何…?」
サリアの目には強い決意の光が宿っている。
「貴女は『百なる魔女』の中でも特異な存在。魔女の記憶の中に自分自身の精神を移すなんて貴女にしか出来ない技術よ。そしてそれだけ優れた魔法技術の面で頼れる人が貴女以外に思い付かなかった」
「だからといって、我は魔女の記憶の中に間借りして観測しているだけの存在だ。汝に力を貸してやれる事はない」
冷たく言い捨てるクェルナ。しかしサリアは動じる事なく、詰め寄る。
「別に貴女自身に戦う事を望んではいないわ。私は今、自分自身が強くなる為に貴女に教えを請いたいだけ。だからお願い、教えて!」

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あきゅろす。
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