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交錯タイトロープ
7-6




──
───



「──っ、ここ、は……?」
意識を取り戻したサリアの前に広がっていたのは、白い世界。
よろめきながら起き上がって辺りを見渡すが、さっきまで居た結界の中ではない。明らかに違う景色。例えるなら空白の真っ只中に居ると彼女は感じていた。
「目が覚めたか」
不意に投げ掛けられた声に振り向くと、そこには同じ顔をした女が本を読みながら椅子に腰を掛けて佇んでいた。サリアよりも明るい金色の髪をなびかせ、蒼穹の色の瞳で横目にこちらを窺っている。
「…え、ええーっと、貴女がキョウの話に出てたクェルナさん?」
「そうだ」
「初めまして、私は…」
「サリア・アウェイム、だろう?──知っている」
自分とそっくりな顔の女が落ち着きのある声音で語りかけてくる。自分と同じ顔立ちである筈だが、その雰囲気の違いにサリアは変な気分を覚える。
そのうちクェルナも立ち上がり、本を閉じてサリアに目を向ける。そして彼女の額に指先を当てた。不意の事にびっくりして離れるサリアにクェルナは溜息を漏らす。
「……生命維持の魔法陣を展開した上で、まさか自分の魔力で魂を強引に『魔女の記憶の中』へ飛び込んでくるとはな。無理矢理な上に未熟というか無謀というか……」

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あきゅろす。
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