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交錯タイトロープ
7-4



恭が午前中に学校に向かっている間にサリアは近衛家の敷地内にある土蔵に入っていた。
「うわ〜、ほこりっぽい。それに色々面白いわねぇ」
中には古いタンスに何かが収められている木箱、今や使われる事のない鎧兜が片付けられている。
「うん。此処ならいいかもしれないわね」
辺りに人の気配がない事を確認した上でサリアは静かに詠唱を始めた。
「──私は望む。世界の在るがままを望むが故に、私は私の望む形に、時を、形を、此の場を一時鎖す。其は傲慢なる楽園に似て、絶対なる領域なり。式よ、私の法に基づき、結び締めん……」
それはアルバートと戦った際に結界を形成した魔法。しかし以前とは違い、結界の範囲等を操作。狭い土蔵である筈の空間を結界の操作と共に拡張。一気に近衛家の敷地よりも大きく空間を広げた。
土蔵の土壁が四方に広がっているが、空間そのものは広く明るい。最早違う空間に、宝石の装飾を施した楔を胸元から取り出したサリアは、四方の隅に突き立て、結界の維持を確認した所で結界魔法を停止した。
「こんな所かな?これだけ広かったら特訓も出来るよね」
結界は四方、縦に広がっており、広さだけなら陸上のトラック程はある。おもむろに魔弾を放ち、結界の強度も確認。サリアの魔法の制御から離れているが、簡単には壊れない事を確認した上で、今度は地面に魔法陣を書き込んだ。


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