[携帯モード] [URL送信]

交錯タイトロープ
1-2
淫靡な言葉を発しながら、サリアの右手は痙攣する恭の身体を滑る様に撫でていく。その表情は熱に浮かされた様に紅潮し、恍惚に染まっていた。
「サ、リ、ア……何、を」
ぼたぼたと赤い血を零しながら、恭は混濁する意識の中、突然の混乱に思考が掻き乱れた。
疑問符と危険と戸惑いが彼の中を入り乱れ、考えがままならない内に、恭は膝から崩れ落ち、衝撃と共に視界のサリアが天井になっていく。
そして貫かれ、粗悪な玩具の様にぶら下がった恭の心臓を、彼女は弄ぶ様に触りながら彼の上に馬乗りに跨がる。


そしてその姿に違和感を覚えた。


その姿は朝日が射す中、ただ黒一色。
栗色の髪も若葉色の瞳も黒。身につけている服はいつの間にか際どい切れ込みの入った、黒いイブニングドレスに変化していた。
「可愛いわ…子犬みたいにぴくぴくして…」
黒真珠の様な瞳で艶掛かった笑みを浮かべる彼女は、とても綺麗でいて、何かが欠落した様な恐怖を感じさせた。
まるでおとぎ話の魔女の様に。
そして再び、彼女は恭の心臓を両手で抱え、柔らかな笑みを携えた。

[*←前][次→#]

2/3ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!