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交錯タイトロープ
2-16
友人である慶とエナは恭と理子の一年の頃からの仲の良いクラスメートである。
慶は穏やかな性格で人望も厚く、エナも心優しい上に綺麗な風貌で、どちらかと言えば正反対である元気な二人と比べて落ち着いた人物だが、気がついたら仲良くなっていた稀有な存在でもある。
「今日の午後の全校集会だけどさ、どうも新しい先生の紹介みたいだよ」
クラス委員長である慶は職員室で耳にした噂の話題を恭に伝えた。
「は?この期末前に珍しいな」
「恭は昨日寝てたから聞いてなかったのよ。保険医の浅川先生が結婚するから学校辞めちゃうんだって」
理子の説明に恭は瞬きをして思い返す。浅川先生と言えば、「保健室の白い薔薇」だとか「保健室のリーサルウェポン」等の異名を持つ、校内一の人気を誇る女性教員。異名については何の事かよく分からなかったが、他の男子の反応からして物凄い人気だった事は明白であった。
「そう。それで浅川先生が辞める代わりに新しい先生が来るって」
慶がそう付け加え、机の中からプリントを一枚、恭に手渡した。
「何だ、コレ?」
「昨日の数学のプリント。一応、来週小テストあるから要点だけ纏めておいたよ」

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あきゅろす。
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