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交錯タイトロープ
2-15
「あン……伊沢じゃねぇか?」
その声の主、渋谷がこちらを見つけた事に気付いた伊沢は振り返る事なく、何故か律義にクラウチングスタートからダッシュ!
「テメ!!伊沢ァ、待ちやがれ!!」
自称・競争馬以上の逃げ足で脱兎の如く逃げ出す伊沢を、不良達は早瀬の思惑通り追い掛けていった。
その後ろ姿を見ながら理子は残念そうに呟く。
「いっやー…伊沢センパイ、惜しいわ…。あの足ならインターハイ位は狙えるのにねぇ」
「いや…無理だろ。あれは逃げる時の火事場のクソ力だから」
恭の説明に理子は「そっか」と軽く頷く。
「お前な…、速く走る奴見つけたら陸上と結び付けるのは止めろよ」
呆れ顔で告げる恭に理子は横目で小さく呟いた。
「そんなアンタはアタシに負けるくらいおっそいク・セ・に」
(くッはァ!!)
理子の一言を心の深い所に食らい、恭はテンションを著しく落しながら、彼女の後を着いていく様に校舎へと入っていった。


「お早う、恭、近衛さん」
「あ、理子お早う!瀬名君もお早う!」
クラスに入ると同級生で委員長の高杉 慶(タカスギ ケイ)とドイツ系クォーターの女子、呉石 エナ(クレイシ エナ)が挨拶をした。
「お早う、高杉君、エナ」
「よう、慶、呉石」

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