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交錯タイトロープ
2-14
恭が思い出す前に理子が呟く。その声を聞き、早瀬と伊沢の表情も強張る。
「…朝からウザい野郎を見たな」
四人の視線の先に居るのは、先の話で恭に喧嘩を仕掛けたリーダー格の三年・渋谷(シブヤ)である。
跳ね上がった茶髪の青年の回りには、他にも恭を襲った三人の取り巻きが肩を並べて群れていた。
「んー……見つかったら見つかったで、また面倒な事になりそうだなぁ」
伊沢の一言に早瀬が頷き、恭と理子に顔を向ける。
「じゃ、俺達が先に走ってく。で、お前等はその隙に行け。ああいうのはタチが悪いからな」
「いいんスか、先輩達?」
「まあ、俺の逃げ足は競走馬以上と言われてるからな!」
伊沢の根拠の無い自信に「何処でそう言われてるのか」という疑問が沸く理子。
「ま、可愛い後輩の為だ。じゃあまた昼休みにな?」
そう告げ、早瀬は伊沢の尻を蹴っ飛ばして、渋谷達の前に突き飛ばした。
「のわッ!?早瀬、お前──」
突然、突き飛ばされ、伊沢は振り返るが、既にそこには風の様に走り去っていく姿しかなかった事に彼は驚愕する。
「うおおお!?ずっけぇよ!!早瀬ェ!!」

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