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交錯タイトロープ
2-13
「伝説じゃねぇ。あと、一息で言うな、ンなデマを」
早瀬のツッコミに理子が頷いて続ける。
「そうですよね。伊沢センパイ、教頭先生の声マネで『そこで喧嘩してるのは誰だー!?』って言いながら、普通に乱入してましたもんね」
「意味無いからすぐにバレて標的になりやがったがな」
「なにぉう!?俺がいなかったら恭は今、この場にいなかったぞ!?」
「いや、勝手に絶命させないで下さいよ、先輩」
相変わらずのやり取りに恭は苦笑を漏らす。
時折、悩む“あの夢”はやはり夢にしか過ぎないのだと、現実に起きている他愛の無い日常が思わせてくれている。
その事が今の彼には何より心地よい空気の様だった。
「なぁー理子ちゃん?今度、陸上部の可愛い女子、紹介してくんない?」
「伊沢センパイ、ダメですよ?4組の静ちゃんに怒られますよ?」
「良いんだ!俺の全ての出逢いは、皆を繋ぐコミュニケーションの輪をグローバルレベルにする為の大切な使命!」
「意味解って言ってないだろ、伊沢」
「それに伊沢先輩の彼女ってスゲェ怖いんじゃなかったスか?」
「ぬ…静ちゃん…最近、機嫌悪いしな…」
暫く他愛の無い会話で談笑を交わしながら歩いていると、途中で見覚えのある顔を見つけた。
「…あの人…」

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あきゅろす。
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