[携帯モード] [URL送信]

交錯タイトロープ
2-12
「は?」
理子の微かな呟きを聞き取れず、聞き返そうとした恭を遮る様に脳天気な声が朝の空に響く。
「おー、朝から元気だねぇご両人!」
振り返ると背後から歩く二人組の男の姿が見える。
一人は軽薄そうな金髪と見る者が好印象を受けそうな人懐っこい笑みを浮かべている。
もう一人は低血圧なのか無愛想そうに表情を固めつつ、軽く手を挙げて挨拶をする。
「よう、恭、理子ちゃん。コイツの事は無視していいぞ」
「あ、早瀬センパイに伊沢センパイ。偶然今、二人の事を話してたんですよ?」
「…俺とこのバカをセットにする話って何か嫌だな」
理子に返事をした無愛想な青年は「早瀬 和博(ハヤセ カズヒロ)」。恭と理子の先輩であり、恭の通う県立一蕪木野高校の三年生である。
「いや、この間、俺が三年の不良に囲まれた時の話ですよ」
「ああ、アレか!!超絶グレイトフル・パーフェクト・ロマンティック・ナイスガイであるこの俺が、超極悪デンジャラス・ヘタレ・バカ不良共をメッタメタに打ちのめしたあの伝説だな!」
恭に言われて、荒唐無稽な戯言を話し出した金髪の青年は「伊沢 一太郎(イザワ イチタロウ)」。同じく、恭達の先輩であり、早瀬のクラスメート兼ボケ役である。

[*←前][次→#]

12/30ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!