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交錯タイトロープ
2-11
実際、恭は武術の心得があるとはいえ多勢に無勢だった為、多少危ない所だったのだが、彼が喧嘩に巻き込まれた事を聞いた理子が、恭の仲の良い先輩を呼んできてくれたお陰で事無きを得たのだ。
「まあ、理子が早瀬先輩と伊沢先輩を呼んでくれなかったらどうなってたやら…」
「アンタね、子供の時みたいに構わないから全力でやっちゃえば良かったのに」
「喧嘩に技使ったら、じっちゃんに何言われるか分からねぇだろが。それにお前にも迷惑掛けるかもしんないし」
確かに本気を出せば勝てない事は無い相手だったが、不良に勝つなど下手に目立てば、近衛の道場に迷惑を掛けるかもしれない。
下宿や武術を教わっている恩義を仇で返さない様に、必要最低限で恭は宗十郎達に迷惑を掛けない様にしてきたつもりだった。
「とにかく、今の俺は喧嘩したい訳じゃないんだよ」
「確かに…新学期明けと比べれば、アンタ少し大人になったね」
理子の言葉に恭は片眉を上げ、「ヘ?」と間の抜けた声を漏らした。
「何かさ、雰囲気が変わってきたって言うか……いや、どう言ったらいいんだろ?」
「何がだ。言っとくが、朝に言ってた悩みとかは無ぇぞ?」


「──……ウソ──」

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あきゅろす。
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