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交錯タイトロープ
5-3
喪服の様に黒いが、踊り子よりも薄い衣装を見に纏い、女性だけが持ち得る艶やかな曲線で描かれた、しなやかな肢体。
その身体の所々には幾つもの鋭利な武器が突き刺さり、白い身体を朱く染めている。
よく見れば、白い肌も皮が剥けていたり、幾つか焼け爛れ、命の形を留めるので精一杯であるかの様であった。
だが、黒い髪に隠れた女の顔は、笑っていた──ただ楽しそうに微笑んでいたのだ。

──おねえさん…だれ?

少女はその女の有様を理解出来ず、目を丸くする。
その娘の不思議そうな顔を眺めながら、槍で貫かれた喉で、女は掠れながらも唄を紡いでいく。

『──幾重もの日々を、私達は歩み、通り過ぎていく。
一時の出逢いであろうとも、それは比類なき奇跡の賜物。
だから、私は唄いましょう。
喜びを、哀しみを、怒りを。
重ね合わせ、交わり、時に傷つけて、
総てが旋律。総てが魂の揺らぎ。
何もかもが一つの風景。何もかもが一つの奇跡。
故に私達は乞う。
触れていきたい、数多の理を。
結び合いたい、幾億の其を。
世界はありのままに、在るがままに、細かな星空の様で。
私達はそこに在るよ、と──』

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