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彩りの残花
4



「長かった。けれど、短かった」

言葉を絞り出す様に、貴女は語りだす。

「ずっといつまでも、なんて思ってた。でもいつか、今日みたいな日が来るんだろうなって、思ってた」

それは、俺も同じ。それが今日だった。

「君は辛くない?」

その問い掛けに首を振る。
これまでかけがえのない貴女が居なくなるのだ。辛いけれど、決して微笑みを崩さない。
しかし、同じように微笑む貴女は俺の気持ちを見透かしているのだろう。それほどに二人の時間は長かった。

「そうだよね。私だって辛いもの。君との毎日が愛しい。それでも時間は流れて、君も大きくなった。もう、大人になっちゃったものね」

そうしていつしか、見上げていた貴女の背を抜いて、成長していく俺と、止まってしまった貴女との時間の差に気付く。

これは俺達の呪いの様な願い、そして絆だ。

幼心に宿した恋心。そして、貴女との死別。あの日の約束。それからの日々。

そして、今。
再び、でも恐らく最後の別れがすぐそこまで来ているのだろう。

「私はあの時、君の告白を聞いて、小さな男の子が精一杯の勇気をくれたんだって、嬉しかった。
出来る事なら一緒に生きていきたかったけれど、それをさせてあげられなかったのは本当に悲しい。
だけれど、君の成長する姿を傍で見守って、男の子から立派な大人になった事は、私幸せだった」





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