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彩りの残花
2

この、いつ始まるだろうかという期待と、近過ぎる貴女への鼓動が混じり、夜気は次第に分からなくなっていった。



そこに、

ドーン。

と、ひとつ。



ああ、始まったんだなと、音のする方へと目を向ける。
始まりを告げた最初の花火に続いて、次々に夜空を照らしていく幾つもの大輪。
轟音と光に気を取られていると、深海のような夜の闇の中、彼女の横顔も色とりどりに染められていく。

「綺麗……」

溢す様に感動を漏らした貴女。そうして、俺の視線に気付き、照れながら微笑んだ。

「何か楽しいね。こういうの久しぶり」

俺も微笑み、頷く。
連発する閃光、大輪に尾を引く光の雨垂れ、何かを形取る変わり種。
幾つもの花火が光を放ちながら舞い、散っていく。
その度に俺の胸を、肺を、耳朶を揺らす音が俺を震わせていった。





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