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彩りの残花
1



そうだ、と貴女は言った。

時間は夕暮れ。
そんな時に、俺達は歩き出した。



「花火を、見に行こう」



時間は夜。
遠くから賑わいが聞こえる。
近隣の住民がそれぞれ、足で、自転車で、車で、花火の会場へと向かっていた。
暗いはずのこの辺りも、賑わいから明るさを感じる。

「ねえ」

不意に掛けられる声。

「手、繋いで」

言われるままに彼女の手に俺は手を伸ばそうとした。しかしその時、繋ぐ事が出来ないまま、人だかりの流れが俺達に押し寄せる。
離れない様にと身を寄せた俺達は人の流れに乗って会場へと近付く。この熱気が周りの人波のものか、彼女からのものか、分からなくなる距離感で、次第に暗い浜辺が見える。





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