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* Voice2 3


あれから幾ら時が過ぎただろう…



私は彼女が最後の時を過ごした庭の木に来ていた。
そう、ここで…終わったんだ






何故、世界は廻る…?


何故、時間は進む…?




彼女が止まった時、

全て止まったんじゃないのか…?










「ブレイク…」


木の前で立ち尽くす私に一人の少女が近付き声を掛けた。いつもなら気配で気付く筈なのに、今は全く分からなかった。


「どうか、されましたカ?」


私は振り向かず応えた。
口調はいつものように振る舞えても顔はそうもいきそうもない



それを察してくれたのか、少女はこのままの状態で続けた


「ナナお姉様の部屋から手紙が出てきました」


貴方宛のですよ。
勢いよく振り向くと、少女は目を赤くし今にも泣きそうだった。それもその筈だ、実の姉が亡くなったのだから。…この辛さは自分だけじゃない



私…だけに、ですカ?
そう聞こうとしたが、止めた。差し出してある反対の手に目をやれば、そこには強く握り潰されてしまった紙切れが見えたから


少女にお礼を言い手紙を受け取ると足早に屋敷に戻って行った。
少女を見えなくなるまで見送り、私はゆっくりと手紙の封を開けた。


懐かしい彼女の柔らかな字で綴られていた




ブレイクへ


手紙とか初めてで

何から書いていいか分かんないけど

とりあえず、ありがとう

それだけは伝えたかった。

これを読んでるって事は

私はもう居ない。って事だから…

私、素直じゃないから

直接は言えてないだろうから(笑)

…本当にありがとう。ブレイク

ブレイクが傍に居てくれて幸せだった

ワガママでどーしようもない私に

振り回されてブレイクは

迷惑だったかもしれないけど

私は幸せだった。

身勝手でごめんね…?


あともう一つ

私のワガママを聞いて下さい。

居なくなってからもこんなんでごめんね

でも、どうしても聞いて欲しいの。

あの、ね…



生きて。

生きて生きて生き抜いて欲しいの。

生き抜くのは本当に大変で

辛い事とかたくさんあると思うけど

その分、幸せな事もあるから。

要するに!

ブレイクには幸せになって欲しい

私が幸せだったように。


…本当は私が

そう思わせてあげたいんだけど

それは、もう出来ないから……

あ、

もし生きる上で私の事が

重荷になるようだったら

その時は…忘れていいよ

ブレイクが幸せになれるんだったら

忘れていいから……


でも、ね

私…………好きだった

ブレイクの事が、ずっと…



…て、何書いてんだろ、私!!

と、とりあえず、約束ね!

幸せになって下さい!!!



ナナより。

読み終えると不思議と笑えた。

「手紙でもナナはナナなんですね」



私は立ち上がり屋敷へと戻った。
…今までサボっていた仕事が山ほど残っているから。


「…仕方がないですね」


ナナ、貴方に言われては。




まぁ、

まだくたばる気もありませんし

出来るだけ“約束”は守りますヨ


でも、幸せにはなれそうもないですネー。

ナナ、貴方無しで

どうやって幸せになれって言うんです?

忘れませんよ。

絶対にナナの事は。



私は…

愛しています。

今も変わらず。貴方を。








- END -


⇒反省会・謝罪

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