エドワード視点です.
+ Memoly +
〜失った記憶の中の〜
「エド、この子は?」
エドワード達は今、リゼンブールに帰って来ていてウィンリーの家にいる
ウィンリーに指差されたエドワードと同じくらいの身長の少女はアルの後ろに隠れてしまった
「大丈夫だよ、ウィンリーは僕らの友達だから」
アルフォンスが優しくナナに言う。ナナは納得をしたのかアルフォンスの後ろから恐る恐る出てきた
「トモ、ダチ?」
「そう、友達」
ウィンリーはその光景を不思議そうに見ていた
「そいつは、ナナだ…」
エドワードはナナの説明をしようとしたが途中で言葉を詰まらせた。代わりにアルフォンスが説明した
「ナナには記憶がないんだ…」
ウィンリーは驚きのあまり言葉が出てこなかった。
ナナは言葉と過去の想い出を失った…エドワード達と旅をしてきた記憶も……。
「ウィンリーに頼みがある…」
ずっと暗い表情のエドワード。
エドワードはウィンリーにナナを引き取ってくれるように頼んだ
これから厳しい旅になる。
それなのに戦えないナナを連れていくのは危険だ。今までだと十分な戦力…というよりエドワード達より強かった。でも、記憶を失い戦い方も忘れてしまったナナをこれ以上危険な目に合わせるわけにはいかない…
「ナナ、分かってくれ」
エドワードはウィンリーの許可を得て、ナナを説得している
だが…「ヤダ」と言って首を振り耳を塞ぎエドワードと目を合わせようとしないナナ
「ナナ、僕たちだって君を連れていきたい。だけど…これ以上は危険なんだ」
アルフォンスの言葉にナナは黙って下を向いた
「ナナ」
エドワードはナナの手を取った。それに驚き顔をあげるナナ
「必ず…必ず迎えに来る
だから、待ってて欲しい」
真剣なエドワード。ナナはもう一度下を向き少し考え込み顔をあげ小指をエドワードに向けた
「ヤクソク?」
「あぁ、約束だ」
最後に絡めた指
微笑んだ2人
指に残る熱
全て忘れられない想い出
エルリック兄弟はリゼンブールを後にし、また旅立った
すまない。
今の俺たちに
お前まで守れる程
強くない…
だから、待っててくれ
俺たちが強くなって
お前を迎えに行く時まで…
それと、
早く思い出してくれ
オレの事を…
* 失った記憶の中の. *
- END -