*02 +ギルバード side+
雨が降り続く中
ボクは森を走った―…
(嘘だ…
坊っちゃんが
アヴィスに墜とされた
なんて
マスターが
ボクのマスターが
どこにも
いないなんて――…)
ボクはその場に泣き崩れた
「う…」
「風邪ひいちゃいますヨォ?」
声に気付き振り向く
「ニコッ…初めまして、ギルバード君
私はザークシーズ=ブレイクと申しマス」
「どうして…ボクの名を……?」
その人はまた笑って答えた
「君の弟君から頼まれましてね?
…君をナイトレイ家に連れていくように…
君の弟はね5年前保護されたんだよ
ナイトレイ家の養子として」
「ボクもその子のように養子になれっていうの?」
「ハイvv
よかったですネェー
これで君も貴族の仲間入りですヨォ」
「貴方は…
分かっているのですか…?
ナイトレイ家は…
坊っちゃんの――…!!」
「母親を殺した家ですか?
でも未だに証拠はないと聞いていますが…」
「…っ
そうだとしても
ボクにベザリウス家を裏切るような真似は…
大体こんな時に…!
レインズワース家の使用人だかなんだか知りませんが不謹慎です!
」
「……それは残念デス」
去って行こうとするブレイク
「勿体ないネェ、エミリー?」
「あぁ、ナイトレイ家の力を手に入れれば…
オズ=ベザリウスを助けられるかもしれないのによぉ!」
「え…」
振り返ったがもう既にいない…
「ほぉ〜ら
食いついてキタvv」
「わぁあ!?」
いない…じゃなく
後ろに回り込まれていて
それにびっくりし大声をあげた
「感傷に浸っていても何も変わらない
…不確かな情報にしがみついていても
ただ真実を見落とすだけ…
大切なマスターを助けたいんだろう?
ならば
そんな感情は捨てて
利用出来るものの全てを利用してみせろ」
ぞくっ―…
「……っ」
その時のブレイクの放つオーラが恐ろしく寒気がし傷が傷んだ
「あーあー
そんな体で無茶をするから
抜け出したのがバレたら怒られますヨォ?
とりあえず屋敷に…めんどくさいケド運んであげマス」
そう言い手を抱えてくれようとするブレイクをギルは拒んだ
「やめてください!!」
ギルはブレイクを押し退けその拍子に見てしまった…
前髪で隠していた無い左目を――…
「わぁぁぁあ!!」
「…あぁ、すみません
見えてしまいましたか?」
「ギルっ…!!」
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