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*17

「あ、あの、ブレイク?」


「なんですカ?」


いつもの口調。いつもの笑顔。なのに、それが逆に怖い


「ど、退いてくれないかな?」


体が熱くなり顔もだんだん赤くなっているのが分かる。視線を合わせたままではこっちがおかしくなりそうだったのであたしは下を向いた


「なんでですカ?」


本当に分かってないのか。それともただからかってるだけか。それは分からないが

(この状態であたしにどうしろと…!///)


ブレイクは更に追い討ちをかけるように顔を近付けた。

抵抗すればいいのかもしれない。でも、今もし抵抗しても後で何をされるか分からない…
だから、あたしは抵抗出来なかった


「ライナ?」


「っ…なに?///」


耳元でそっと囁くブレイク。紅潮しきった頬が更に赤くなる
本当に頭がおかしくなりそうだ






「何で鴉に肩を触らせたんですカ?」


「はい?」


一気に肩の力が抜けた感じだ。まさか、そんな事言われるとは思いもしなかった。
いや、何を言われるか見当もつかなかったが…どうせまた嫌みだろう。と思っていた


ライナは下げていた顔を上げた。ブレイクの顔は横にあるため反対側の壁が見えた



この時に誰もこの廊下を利用していなくて助かった
こんな場面を見られたらライナはレインズワース家に居れなくなるだろう

…恥ずかしさのあまりに。


ライナは落ち着き取り戻した。体の熱もだいぶ冷めただろう。この体制は変わらないが…


「触らせた、というか…ギル慌ててたし、成り行きだよ?」


「成り行き…ですカ……。」


ブレイクはゆっくりと顔を上げた。両手はまだライナを囲んでいるが…
それでもまだ、耳元で囁かれるよりはマシだ


ライナとブレイクの視線が交じり合う。ブレイクの目は少し冷めた目をしていた


「ブレイク…?」


「…成り行きでしたら誰にでも触らせるんですカ?」


やっとライナはブレイクが怒っている事が分かった。その原因も…
でも、そこまで怒る事だろうか?


「誰にでもなわけないよ!
でも、振りほどくのも失礼だし…それに相手はギルだよ?」


少し反論してみた。ライナにはブレイクがそこまで怒る理由が解らない…

確かにあたしの不注意かもしれない

だとしても…


「ブレイクには関係ないじゃん…」



思わずこぼしてしまった言葉。ハッと我に返り反らした視線を戻したがその冷めた紅き瞳は変わらなかった

そう、これが現実
あたしとブレイクは何でもない…
あたしがどんなに想おうと…
ただの上司と部下だ。


これでいいのに。これが真実なのに…どうしてこんなにも心は苦しくなるのだろう…


ライナはまた下を向いた。視線を合わせている事がいたたまれなくなったから

だが…

ライナの顔はブレイクによって強制的に上にあげられた

そして、唇に何かが当たった





一瞬の出来事で

何が何だか分からなかった
――


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あきゅろす。
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