[携帯モード] [URL送信]
*09 独りの哀しみ

「あとね、アリス…
両親についてオズには聞かないで?」


「なんでだ?」


「なんでもだよ
このバカウサギ!」


今まで黙っていたギルが声を張り上げた


「これはオズにとってデリケートな問題なんだよ」


「はあ?」


「おまえには…
チェインにはわかるはずのないことだ!」


「ギル!」


ライナはギルを抑えた


「言い過ぎだよ」



「…オズがデリケートだと…?」


「アリス…」


「アヴィスに堕ちてものん気にクッキー食ってるような奴だぞ!
むしろ頭のネジが抜けてるとしか思えんがな!!」


バンッ――


「何も知らないくせに…
オレの主人を侮辱するな…!」

ギルはアリスを壁へ追いやり
ものすごい目付きで睨み付けた
それでも動じないアリスは…


「ふむ…ならば仕方ない
話してみろ」


「は…?」


「つまり今のは『知った上なら存分に馬鹿にしていい』というこだろう?」


アリスは辺りをキョロキョロ見渡し荷物が積み上げられてるところに上りそこに座ってギルを見下ろした


「ま
私は下僕の昔話などに興味がないがな!
それに今聞いておけばオズに聞く手間も省けるしなぁ?」


「っこのクソウサギ…!」






――それからギルはオズの事を話した

肉親であるはずの父親に否定された事『生まれてこなければよかった』そう言われた事


その言葉が幼いオズをどれだけ傷つけたか…

どれだけ残酷だったか…



「…少し、しゃべりすぎたな…」


アリスはいつの間にか下に降り林檎をかじりながら黙ってギルの話を聞いていた


少し離れた場所から聞いていたライナは2人に近寄った


「…オズのところに戻ろ?」


「そうだな」


アリスはいきなり立ち上がった
同時にライナも振り返った


「…臭い」


「あ゛?」


ギルは自分を嗅いだ


「蟲臭い
アヴィスで嗅いだことのある臭いだ」


「臭い…は分からないけど近くにいるのは確かね
行きましょうか」


ライナとアリスはチェインのいる方へ歩き出した


[*BACK][NEXT#]

あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!