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物語
第2話 古代戦艦アウローラ





フレイ
「さて…何しようかな…自由行動って言われてもよ〜…」


フレイたちは祭壇の外に出て各自バラバラに散らばっては、思い思いに過ごしている。
フレイはというと、何をしようかプラプラと歩き呆けていた。


フレイ
「…それにしても、オレの本当の力…か…ッ。後で使ってみようかな♪ふ〜ん♪」


そう言っては、フレイはイルフォンスとアルヴォンドの祭壇のコンパクト化が完了するまで、仲間と話をして過ごしていったのであった…






天空世界編
第2話
「古代艦隊アウローラ」






アルヴォンド
「終わったで〜皆!」
イルフォンス
「遅くなって悪かったね…」


祭壇の部屋から出てきたアルヴォンドとイルフォンスの声に皆気付き、二人の元へと駆け寄っていった。


フレイ
「気にすんなよ!それよりも…出来たのか?」
アルヴォンド
「無事出来たで〜♪ほら、ネリアちゃん!」


そう言ってアルヴォンドの手から出てきたのは、祭壇の檀上に描かれていた模様が施された腕輪だった。


ネリア
「凄いな…これでどこでも「浄化歌」(メレウ)と「鎮生歌」(アルタ)が謳えるのだな…」
アルヴォンド
「せやで〜どんな攻撃にも壊れないようにして作ったから安心しぃや♪」
ネリア
「…ありがとう二人とも」


そう言ってネリアは自分の左腕に腕輪を装着していく。


フレイ
「そういやイル…生心力(ヴィオゼーラ)の消耗が激しいって言ってたけど…」
イルフォンス
「うん…まぁ、しんどいけど…時間が経てば元に戻るよ…気にしないでくれ…ッ」
ネリア
「何を言っておるのだ!この世界だと普段より回復速度は遅い…今から私がアリアを歌って―」
フレイ
「ネリアは無理すんな!オレがやる…」
ネリア
「え…?何をやると言うのだ…―」
ガザフ
「!まさか…」


フレイの言葉に疑問を持ちつつも、フレイがイルフォンスに近づいていくのをネリアたちは呆然と見つめていた。
そしてフレイはイルフォンスとアルヴォンドの目の前に近付くと、二人の前で両手を当て始める…


フレイ
「輝け…無限の癒し…イノセント・ヴィオゼピリア!」


そう言った途端、フレイの身体が淡くオレンジ色に輝いて額の宝石が光だし、そして優しい淡い光がイルフォンスとアルヴォンドの身体を優しく包み込んだ。
まるでそれは先ほどネリアが歌ったアリア「浄化歌」(メレウ)と似たような感覚で…
二人は先ほどまでのしんどさがまるで嘘のように無くなっていくのを実感していった。


フレイ
「どうだ?気分が楽になっただろ?」
アルヴォンド
「……」
イルフォンス
「…凄いね…これはなんだい?」
フレイ
「記憶を全部取り戻した時…とうさんにこの心術を教えてもらったのを思い出したんだよ。これ、相手の生心力(ヴィオゼーラ)を回復する心術だからさ…試しに使ってみようと思って」
ネリア
「そうか…宝心種族は無限に生心力(ヴィオゼーラ)を生み出すことが出来ると言っておったな…このような心術があるとは…」
フレイ
「オレが皆の消耗した生心力(ヴィオゼーラ)を回復、ネリアは世界の蝕死力(ブラジェーラ)をろ過する…これでお互い役割が決まったな♪」
ネリア
「ふ…そうだな」
アルヴォンド
「……チッ」


そうネリアとフレイが仲良く話すのを見ていたアルヴォンドは小さく舌打ちすると、二人の横を通り過ぎた。


りん
「あ、ど、どこ行くんですかアルヴォンドさん!」
アルヴォンド
「ぁああああ暇やヒマァ!!どっか図書館とかないんかいなネリアちゃん!俺…今めっちゃ本読みたい気分やでぇええ!!」
ネリア
「ぁ…ぁあ…確かに地下3階に大きな図書館があるが…行ってどうするのだ?」
アルヴォンド
「天空世界(スカイピア)から出るための手がかりを探すんや!イルの移動心術が上手く機能せんかったっちゅーことは、一生此処から出れへんってことやろ?せやから、どうにかして此処から出る情報を得る為に調べもんせなアカンっちゅーことや!」
フレイ
「なるほど…さすがアル!早速その図書館にいこうぜ!」
メル
「本がたくさんの部屋か〜面白そう〜♪」


そう言っては先に進むネリア・アルヴォンド・メル・りんを後ろで眺めている他の仲間たち。


ガザフ
「……ウォード」
ウォード
「!は、はい…?」
ガザフ
「逃げていては何も始まらんぞ…」
ウォード
「!……ッ」
ガザフ
「俺は…逃げ続けて後悔している…」
ウォード
「え…?」
ガザフ
「俺と同じ過ちを…お前にしてほしくない。逃げ続け…残るのは何もないからな…」


そう切なげな表情をして呟くガザフの表情を見つめるウォード。
すると、急にガザフはウォードの背中を思い切り叩きはじめた。


ウォード
「イッタァ!!;…痛〜…ッ、な、何するんですかッ…ガザフさん…ッ!;」
ガザフ
「ハハッ!!まぁ…なんだ、自分の気持ちに正直に動けってことだな…フレイみたいに…よ」
ウォード
「……」


そう言っては、離れた距離でネリアとフレイが話しているのをウォードは見つめていた。

ウォード
「…フッ、そうです…ね」




ガザフとウォードが話をしているのを余所に、イルフォンスは呆然と自分の右手を見つめていた。
その彼の表情は切なくて…


イルフォンス
(アル…君は一体何を考えているんだ?僕は頼りにならないのかい…?どうして君は昔からこう…)
フィーネ
「ふふ…アルちゃんについて悩んでるのね…イルちゃん?」
イルフォンス
「!フィ、フィーネさん…!」
フィーネ
「ホント…イルちゃんとアルちゃんは似ているのね〜♪」
イルフォンス
「ど、どこが似てる―」
フィーネ
「一人で抱え込んで誰にも言わず…考えすぎちゃって一人突っ走る所が…ね」
イルフォンス
「!!」
フィーネ
「今、彼がどう思っているのか分からない…多分、アルちゃんが私に気付かせまいとそう制御してるのかもしれないわね。でも…伝わってくるのは…そうね……悲しい…悔しい…怒り…そんな気持ちが伝わってくるわ」
イルフォンス
「……」


イルフォンスは自分から離れた距離にいるアルヴォンドを見つめる。


イルフォンス
(……君が本当の事を話すまで…僕はあきらめないからね…アル)
フィーネ
「フフ…その意気よ…イルちゃん♪」










場所は変わり、地下3階。
皆は図書館へとたどり着いた。
思っていたよりも結構広く、その中から情報を探すのはかなり困難と思われるほどだ。


フレイ
「うわ…どこを見ても本ばっかだな…これ、どうやって探すんだよ?」
アルヴォンド
「項目別に分かれとるからな…ぇ〜と…あ、あった!」


アルヴォンドが見つけたその視線の先には「歴史」という項目が書かれているコーナーだった。


ガザフ
「さて、手分けして地上世界(アスピア)に戻る手がかりを見つけるぞ!メル…俺と一緒に情報を探そう」
メル
「わかった!パパの手伝いがんばるね♪」


ガザフの合図で皆は地上世界(アスピア)に戻るための情報を手当たり次第に探していった。




そして1時間ほど経っただろうか…

それまではメルが飽きて寝てしまい、フレイは頭が痛くなると言って喚くのをネリアが叱りながらも探していき、それ以外の者は必死に本を読んでは情報を探していた。
だがそれでも手がかりとなるものは見つからず、皆諦めかけていた時だった。


フィーネ
「あらぁ…?なにかしら…皆!こっちに来てちょうだい!」
ネリア
「こらフレイ…寝るでない!起きろ馬鹿者!!」
フレイ
「ふぁ…な、なんだぁ…?」
りん
「手がかりが見つかったんですか、フィーネさん!」


皆フィーネの元へと集まっっていく。


フィーネ
「これ…どうやらガーディアンの何処かに、古代戦艦アウローラという乗り物があるらしいの」
ウォード
「なんと…そのようなものがガーディアンに…!?」
ネリア
「ほぉ…初めて耳にしたのぅ…」
フィーネ
「ぅう〜ん…ここからは古代文字のようね…ネリアちゃんお願いできるかしら?」
ネリア
「了解した」


フィーネにお願いされてネリアはフィーネの持っていた本を受け取っては古代文字が書かれている文章を読み取っていく。


ネリア
「……なるほど…古代戦艦アウローラは、どうやら…A.O時代…今から5003年前、世界が破滅へと近付いていき天空人への差別が一番悪化した時期に…地上人を殺そうと天空人達の手によって創られたらしいのぅ…」
ガザフ
「ということは…かつては兵器として使おうとしていた…のか?」
ネリア
「そういうことになるな…だが5000年前…世界が破滅しそうになった時、天空人だけが生き残ろうと全ての天空人を乗せて救出の為に使われたらしい…その後、女神アリスタによって新たな星の誕生、今の仕組み、天地の形成が行われた際に、ガーディアンが出来る前のこの大陸へとたどり着いたらしい」
アルヴォンド
「そんでいつか使う時がくるように…どこかに保管してあるっちゅーことやな?」
ネリア
「そうだな…この文書によると…地下5階の何処かに隠し扉があるらしい…開け方は……」
フレイ
「開け方は…?」
ネリア
「……守護騎士の血を捧げれば…その扉は開く…と書かれている…」
ウォード
「私の血を…?」
ネリア
「………」
ガザフ
「……とりあえず、もうあれからかなり時間が経っていると思う…隠し扉の捜索と解放は明日にしよう。ネリアちゃん、皆が寝れるような場所はないか?」
ネリア
「それなら―…」



ガザフはネリアに皆が寝れるような場所は無いかを聞いている最中、ウォードは俯いて何か考え事をしているような様子を、フレイは見逃さなかった。


フレイ
「どうしたんだウォード?何か悪いモンでも食ったのかよ?」
ウォード
「……いや…」
フレイ
「…今夜、蹴りつけた方が良いと思うぜ?」
ウォード
「……言われなくてもそのつもりだ…」
フレイ
「だったらなんで悩んでる顔してンだよ?」
ウォード
「……」
フレイ
「…ネリアと話しするまでさ…気分転換に色々散歩してけばいいんじゃねェの…?そうすれば整理着くと思うけど…まぁ、あくまで俺の意見だけさ…」
ウォード
「…そう、だな…」
フレイ
「ネリアは待ってるぜ…お前が話してくれンのを…さ」


そう言ってフレイは元気づけるようにウォードの背中を優しく叩く。


ガザフ
「よし……案内してくれネリアちゃん」
ネリア
「了解した…」



そう言って、ネリアを先頭に皆休憩場所へと向かっていく…


アルヴォンド
「ちょぉ待って〜な!自分本片づけてから行こうと思って―…ん?」


本を片付けてる最中、先に行く皆の姿に焦るアルヴォンドは、ある棚の…黒くて分厚い本に視線がいった。
気になりその本を手にとっては内容を目にすると、目を見開いて驚いた表情を見せる。


りん
「アルヴォンドさんどうしたんですか?早く行きますよ?」
アルヴォンド
「!あ、せ…せやな!!おいしょっと…ほな、行くかりんちゃん♪」
りん
「…?は、はい…」
りん
(一瞬…アルヴォンドさんの生心力(ヴィオゼーラ)が揺れたような…気のせいですよ…ね…?)
アルヴォンド
「?りんちゃんどないしたんや?」
りん
「ぇ…な、なんでもないです。早く行きますよアルヴォンドさん!」


そう言ってりんはアルヴォンドの手を握る。


アルヴォンド
「―…ぁ」
りん
「皆さんお待ちしてますよ♪」
アルヴォンド
「……あぁ、せやな…」


りんは、微笑む彼の表情がどこか悲しそうな印象をうけた。
そしてまた生心力(ヴィオゼーラ)が揺れる…


りん
(アルヴォンドさん…また何を考えているんですか…?どうしてそんな切ない顔を…ッ)


フレイ
「ネリア…」
ネリア
「?どうしたのだフレイ…」
フレイ
「オレ…ネリアを護るから…なんとしても」
ネリア
「?どうしたのだ急に…?」
フレイ
「なんとなくだよ…♪」
ネリア
「相変わらずおかしな奴じゃのう…」
フレイ
「うっせ!!」









場所は変わり、とある天空世界(スカイピア)の大陸の森の中。
そこにはグリュエル騎士団だった、アニエスの姿があった。


アニエス
「ここ…どこなの…ッ?真っ暗…皆は…オルグユ様は…ッ…?」


どうやら皆は散り散りになったらしく、アニエスは当てもなく森の中を彷徨い歩いていた。
真っ暗な森の中、アニエスは身体を震わせ怯えている。


アニエス
「真っ暗…嫌い…やだ…助けて…ッ、痛いよ…怖いよぉ…ッ!」




『出来そこないのゴミが!』
『ゴミは大人しく倉庫にのたれ死んでな!』
『どうしていう事を聞かないんだい…この薄汚いガキッ!!!』


アニエス
「はぅ…!い、痛いです…暗くて怖いです…ッ!やめてッ…いや…やぁあッ!!!」


脳裏にフラッシュバックした“何か”におびえ、叫んだアニエスは大粒の涙を流してその場に座り込んでしまう。


アニエス
「怖い…こわいですッ…オルグユ様…助けて…やぁ…ッ」


―ガササッ…


そう切なく呟くアニエスのもとに、草木から現れてくる。


アニエス
「!!お…オルグユ様…―…ッ!?」


何かに気付いたアニエスは嬉しそうにその方向へと顔を向けた瞬間、目を大きく見開いて驚いた。

そのアニエスの姿は、月が雲に隠れ、月明かりが無くなり、闇の中へと消えてしまった。


そして再び月明かりが灯されて明るくなったその場には、アニエスの姿はいなかった。
ただ唯一…アニエスの武器…ハンマーだけを残して…。







NEXT…





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